ひつじにっき

ようこそお出でくださいました。手仕事が好きです。作品は http://ashiya-get.com/「あしや月兎・ぷらす」さんでお求めいただけます

黒塗りのミシン

2011/01/12 03:42 [Wed]
反して私の父方の母 (私の祖母) は、ある程度裕福であったと推測している。
関東大震災で目黒の家が被災し、
埼玉県に居を移したと聞いているが
そのときのリヤカーは
数年前まで庭で、その姿を風雨に晒していた。





リヤカーに積んで 難を逃れた物資の中には、
クランクをくるくる回して音楽を楽しむ蓄音機やレコード、
曾祖父が着ていたフロックコート、
尾崎行雄からの委任状、レ点の付いた漢文のような書物や、
髷を結っていた祖母や曾祖母が使うための高枕、
家紋の入った銘々膳もまた漆塗りであった。
琴、三味線、数々の着物や帯など、今も残っている。


明治・大正の薫りのするものが山のように今も
「ちょっとここに置いておく」といった風情で、本棚の上に置いてあったりするのだ。



足踏みミシンもその中のひとつ。



父方の祖母・よし子が着物姿に貝の口を結い
軽やかに踏む黒塗りのミシンが
とてつもなくモダンで、指をくわえて眺めているうちに
踏み方のコツや下糸の巻き方を覚えた。



私は4~5才で「きぬ」という素材を知り
「きぬやウールをぬうときは、きぬいと。ごうせんは あわない」
というのを聞きかじる門前の小僧となった。

(ごうせん というのは「合繊」で、現在主流の糸を指す)

祖母よし子は「職業婦人」のはしりだったように思う。


機嫌のよい時は私に、
「くれてやる」と言って
動物に餌をやるように、ぽいっと「きぬの端切れ」を投げてよこした。

そんなことも嬉しかった。


ある日私が学校から帰ったら、
祖父母とともに ミシンも桐の箪笥も消えていた。
廊下に、擦りキズがついていて
それは いつにも増して刺々しい空気を孕んでいた。



スポンサーサイト

 | HOME | 

プロフィール

ひつじ

Author:ひつじ
縫い物、編み物がすきです。テディベアは飛騨高山テディベアエコビレッジや那須テディベアミュージアムのコンペで入賞した子は各美術館に蔵収展示、また米テキサスの音楽家のご自宅に展示して頂いております。テディベア及びうさぎグッズ全ての作品に於いて著作権は放棄しておりません。模倣は固くお断り致します

天気予報


-天気予報コム- -FC2-

検索フォーム

QRコード

QR